コラムNo,1は『ぴあのえこるの』の相澤さんから投稿をいただきました。
『ある一枚のレコードとの出会い』
私の田舎は福島の会津地方。家の周りは田んぼばかりで、夏の夜は蛙の大合唱でとてもにぎやかでした。秋には、蛙に代わって今度は虫たちが合奏を始めます。季節ごとに行われる音楽祭は、今となってはとても懐かしい響きです。
そんなド田舎で生活していた子どもの頃の私にとって、娯楽と言ったら唯一レコードを聴くことでした。小学生の頃は、もっぱら山口百恵や西城秀樹のEP盤を何度も何度も聴きましたが、時々家にあったSP盤をいじくっていると、そこから聞こえてきたのは、フレンチカンカンなどで流れる「天国と地獄」という曲でした。
今思えば、クラシック音楽に初めて触れたのは、この「天国と地獄」だったのかも知れません。ただ、小学生の私にはクラシックの曲は直ぐに飽きてしまい、結局また浅田美代子の「赤い風船」を永遠に聴いていたのを思い出します。
私には歳の離れた兄が二人おり、二人とも中学に入るとブラスバンドでクラリネットという楽器を吹き始めました。また、親戚には地元の吹奏楽団でフルートを吹いている者もいて、楽器というものに接する機会が多くなりました。その頃から私も、音楽を聴くだけではなく、楽器を使って自分から音を出すということに興味が湧き始めました。
手始めに、家にあったギターを弾いてみましたが、Fのコードで挫折。次に、なぜか家にあった尺八を吹いてみました。息が切れて目眩がしてやっぱり・・・。空き缶を逆さに並べて、スプーンで叩いてみたり、兄のクラリネットを吹かせてもらったりもしました。しかし今ひとつピンと来ません。
やっぱり自分には音楽は向いていない、聴く方が楽だと思っていた矢先、ある一枚のLPレコードに出会いました。兄が購入したもので、A面がクラリネットの曲、B面は見慣れない楽器の曲でした。
面白半分に、その見慣れない楽器の曲を聴いてみたところ、今までにない衝撃が走りました。その音は、深い森の中から聞こえて来るような柔らかい音色、それでいて力強い芯のある音。それがホルンという楽器との初めての出会いでした。
ハイドン作曲「ホルン協奏曲第1番」。このレコードに出会わなければ、今の自分はなかったと言えます。その後私は、中学へ入学するとブラスバンドでホルンを吹きたいと希望しました。高校もホルン、大学もホルン、そしていつの間にか30年もホルンと付き合って来ました。
ホルンという楽器は一筋縄ではいかない所がありますが、小学生の時に受けたあの衝撃と感動を今も忘れたことはありません。そして今、私が感じた想いを、今の子どもたちにも味合わせたいという気持ちでいっぱいです。
私の演奏が、あの日出会ったレコードと同じように、子どもたちに音楽を好きになってくれる切っ掛けとなったらと、そういう気持ちで毎回演奏をしています。
ぴあのえこるの:相澤
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